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2018-04

ディックアンドホモーティ部・セラピストの裏技 - 2018.04.14 Sat


リックアンドモーティについて今回は記事を書きます

リックアンドモーティを知らない人のために軽く説明すると、
「内気で平凡な小学生のモーティが天才科学者のおじいちゃんリックと一緒に
全宇宙をまたにかけて冒険するSF要素満載のギャグアニメ」といった感じです

え?何いってるかわかんねえ?じゃあ動画貼っとくからとりあえず見とけ(強制)




海外アニメにありがちな風刺&暴力要素を継承していて
シンプソンズをはじめサウスパークやファミリーガイが好きな方なら
絶対にハマると断言できます(自分もそうでした)

NetFlixで全話見ることができるので興味のある人はぜひ見てください
(ニコニコ動画でも一応見られます ディックアンドホモーティで検索)


▼Season 3 : Episode 3 ピクルス・リックの冒険

maxresdefault.jpg

Season3はモーティの両親の離婚から始まります。
そのためSeason3は家族の問題にフォーカスした題材が多いように思います。

その問題というのが 冒険と家族の問題です。

人は誰しも、どこかで自分は自由でありたいと思っています。
好きな所へ行き、自由に動き周り、ワクワクに身を任せられたらどんなに良いか
そんなことを考えたことはないでしょうか。

しかしその一方で、どこかで安定したいと思う人もいるわけです。
自由であり続けるには相当な苦労が必要ですし、何よりリスクが伴います。
そのため家族の生活を大事にしたいという思いもどこかにあるでしょう。

自由を追い求めるか、安定を追い求めるか
この手の問題は創作のテーマとしてはよく見かけるものです。
(自分の好きなアンチャーテッド4 最後の海賊王もこんな感じのテーマでした)


▼あらすじ

で、今回のリック&モーティもそういったテーマを扱ってます。
海外のwikiを参考にあらすじをまとめてみます。

この回ではリックの家族同伴でモーティとサマーのカウンセリングを受けるところから始まります。
モーティは学校でお漏らしをし、サマーは陶器の釉を吸引したことを受け
学校側からカウンセリングを受けるようにとの指導がありました。

DrWong.png
・ワン医師です。うんこ食いマン(Coprophagia)の治療が専門です。

セラピストのワン医師に3人が呼ばれると
リックがなぜここにいないのかを問いつめられました。

母親のベスは彼女の父親が科学の実験で来られなくなったと言ったあと
彼がいかに素晴らしい人間であるかをセラピストに語りました。

一方でモーティは
「じいちゃんはピクルスになったんです(turning himself into a pickles)」
とセラピストに向かって言うのですが、これはベスに遮られます

ここらへんの会話を受け、セラピストが
「お父さん(リック)はよくピクルスになったりするんですか?」
とすんなりと受け入れている一方、その後ベスが
「はい?なんてことを聞くんですか?」とイライラしてるのが分かるんですが、
ここら辺のニュアンスが和訳版だと微妙に分かりづらい気がします。

そこで少し調べてみました。
Goo辞典によるとpicklesには次のような意味があるみたいです。

((通例 a pickle)) ((話)) まずい事態,窮地,苦境;((主に英)) 混乱状態
((話)) 気難しく不愉快な人物,嫌なやつ;いたずら者,いたずらっ子

またTurn A into B もAがBに変化する という意味なので、
【リックは何らかの原因があって、「頭がおかしく気難しく不愉快な人物」になってしまった】
と見ることができます(たぶん)。

またそれが「リックが来られない理由」であるということから、
リックが気難しく不愉快な人物に「変化」してしまったので、セラピーに来なくなったと
セラピストの視点から見ればそう判断できるわけです(実際は本当にピクルスになっただけなのですが)。

(こうしたカウンセリングと同時並行に、リックはpickles(困難)な冒険に段々と追いやられていきます)

ベスは続けて自分の父親が重要な仕事をしていることをセラピストに訴えるのですが、
娘のサマーは「おじいちゃんはここに来るのが嫌だからママに嘘をついたんだと思うよ」
とモーティと同じように答え、ベスを怒らせたりします。

こうした会話の中からセラピストは
科学が家族を結びつけるコミュニケーションの鍵となっていることに気づきます。

セラピストはさらに、これらの会話を受けて、
「注射器の中身がピクルスから人間に戻るための液体ではないと確信ある人は手を挙げてください」
と「注射器の中身」について問い詰めますが、

ベスはこれに飽きれ、
「モーティとサマーは、先生のピクルスの執着を、本来のテーマを回避するのに都合よく利用しているんです」
と答えますが、セラピストはピクルスの件を深刻に考え、
「ピクルスの件を追求するのは問題の確信に迫るのにいい方法だと思います」と答えてしまいます。



▼ワン医師とベスの食い違い

ここら辺の応酬はとても面白いです。

ベスはリックが本物のピクルスになったのを知っているから
モーティとサマーがピクルスの話題を都合よく利用しているように思っているのですが、
セラピストにはそれが抽象的なたとえ話、つまり「Turning himself into pickles」という
リックの人格的な変化が家族の関係に強い影響を与えていると考え、
さらにピクルスについて追及しようとしているのです。

セラピストは言葉の裏読みをしがちだという皮肉でしょうか。
しかもセラピストはその道のプロなので、あながち間違った推論をしていません。

「あなたとお父様の関係はとても、特殊(Specific dynamic)なようなので
感情が弱みを見せずに責める方向に行きがちなため、それが結婚生活を蝕んだのかもしれません。
その影響で、子供たちはうまく感情を表せないのでしょう」

ベスにとって父親のリックがただピクルスになっただけのことが
家族が抱える問題を表す当意即妙な言葉として都合よく解釈され、
結果、こんなピクルスごときのくだらないことで
その本質をあばかれてしまった(あばこうとした)ことが癪に障ったんでしょう。

リックは自分勝手に自由奔放な冒険の旅に出ています。
ベスはそんな父親に憧れを抱きつつも、
「自分を見てくれない孤独感」をどこかで感じていたのではないでしょうか。(エピソード9参照)

そうした父から受けたネグレクトに対する不満から
夫のジェリーや子供たちを「責める方向に行きがち」になったため
何事も強く言い出せないジェリー (あるいはリックを否定した夫 : エピソード1 )とは離婚、
自分と同じようにリックを敬愛する子供たちには嫉妬を抱き強くあたる、といった感じでしょうか。

そんなことをセラピストは朧気に察していたんだと思います。
そこまで完全には分かってないとはいえ、本質をなじり傷をつけるくらいには十分でした。

(後半でベスは「父は色んなモノを作っても、『誰からも何も求めない』」と答えるのですが、
セラピストが「そういう所を尊敬しているのね?」と聞くと
「『自分の問題を他人に擦りつける』よりマシよ」と言います。

この『自分の問題を他人に擦りつける』というのはワン医師のことですが、
おそらくこれは同時に夫のジェリーのことであるようにも見えました。
ベスがジェリーと離婚した理由は自分の問題を父親のリックに擦り付けたことが原因でした)

ワン医師はピクルスについて問い詰めますが、
ベスは自分自身に対する不満からモーティはお漏らしし、サマーは釉を吸引したのだと考えています。
しかしセラピストは「人間としてのリックがいないこと」が
お漏らしと釉の吸引の原因にあたると考えているようです。


fuck you
・キレたババアの図。"Fuck you, Fuck both of you"




▼ ワン医師とリックの対話

家族がセラピーを受けていると困難を乗り越えた傷だらけの「ピクルス」リックがやってきます。
そしてリックはベスに「生きるためのクスリ」を打ってくれといいます。「そのクスリで死なずに済む」と。
セラピストは「ピクルスから人間に戻るということですね?」と聞き、リックは「そうだ」と答えます。

ピクルスから人間に戻るということは、
「困難(あるいは非日常としてのおふざけ)」から「日常(家族との平穏な暮らし)」に戻ることだと思います。
そしてリック自身が、「そのクスリで死なずに済む」と答えていることが、
ワン医師には示唆的だったのでしょう。

ワン医師が「なぜ娘さんにウソをついたんです?」とリックに尋ねると「ここへ来たくなかったからだ」
続けて「なぜ来たくなかったんですか?」と聞くとリックはこういいました。

nnk.jpg

【和訳】
「セラピーを信じてないからだ。ワシは科学者で、発明や改良は破壊しながら生きてる。
気に食わないことがあれば自分で変える。ショッピングセンターの賃貸オフィスにいるような
平凡なセラピストごときに、自分の言葉や感情をどうのこうの言われたくない。
それで多くの人が救われ、パニックにならずに済むと思うのなら、(ヴォエ!)
ワシらが食べる動物もそうだ。(だが)ワシは望んでいない。
ワシは牛じゃない、『ピクルス』だ!気が向いたときは。これが、答えだ」

【原文】
Because I don't respect theraphy, because I'm a scientist,
because I invent, transform, create, destroy for a living.

And when I don't like something about the world, I change it.

And I don't think going to a rented office in strip mall to listen
to some agent of averageness explains which words mean which feelings
has ever helped anyone do anything.

I think it has helped a lot of people get confortable and stop panicking,
which is a state of mind we value in the animals we eat, but no something i want for myself.

I'm not cow. I'm a pickle. When I feel like it. So... You asked.


ここらへんの和訳の後半部が本当に分かりづらく解説がないので
字幕を比較しながら色々考えました。
「それで多くの人が救われ、パニックにならずに済むというのなら(ヴォエ!)
ワシらが食べる動物もそうだ。ワシは望んでいない」というセリフですね。

ここにあたる字幕は
"I think it has helped a lot of people get confortable and stop panicking,
which is a state of mind we value in the animals we eat, but no something i want for myself."

となっていますが、こういう意味にとったほうが分かりやすいと思います

「(セラピーは)多くの人を救い満足を与え、パニックを防ぐだろうが
それはワシらが食べている動物の言い分だ。だがワシはそんなものを望んじゃいない。
ワシは(飼われた)牛じゃない。ピクルスだ!気が向いたときは・・・これが、答えだ」

ワシらが食べている動物 = 飼育されて屠殺される動物 のことです。
ですから、
セラピーを必要とするなんてものは、利用される奴にとって必要なものにすぎない、
ワシ(リック)はそんなことをせずとも、一人で勝手に自由に生きていけるのだ。

というこういうことだと思います。



▼ワン医師の弁明

この返しにワン医師は滅茶苦茶長文を使ってリックをまくしたてるのですが
何をいっているのかさっぱりわかりません。和訳が意味不明でした。
今回それが原因でわざわざブログの記事にしたのですが、
ここがこの話で最も重要な部分であると思えるので頑張って意味を取りました。

hm.jpg

【和訳】
リック、
(1)その非の打ち所の無い知性と、家族を機能不全にする欠点を結び付けているのは
これはご家族全員に共通していますが、欠点を正当化する為に知性を使っていることです。

(2)止められない力と避けられない災いの間が揺れているようですが、
それはあなたが、本当にもてあましているのは、自分自身の頭の中だからではありませんか?

(3)あなたはここへきて、私の職業をけなすことを選びました。ピクルスになるのを選んだように。

(4)あなたはこの宇宙の中心ですが、ネズミの血と糞にまみれています。
文字通り自分でエゴを増大させているんですよ。

(5)きっとあなたはこのセラピーにうんざりしていることでしょう。
私がはみがきや、おしりをふくのにうんざりなのと同じように。
修復や維持、手入れをするとった行為は冒険じゃないからです。
間違っても死んだりしません。単なる作業です。

(6)そういう作業を、文句を言わず淡々とこなす人もいれば、
そんなの死んだ方がマシって人もいます。
各自で選択することです。



【原文】
"Rick,
(1)the only link between your unquestionable intelligence and the sickness destroying your family
is that everyone in your family, you included, use intelligence to justify sickness.

(2)You seem to alternate between viewing your own mind as an unstoppable force
and as an inescapable curse, and I think it’s because the only truly unapproachable concept
for you is that it’s your mind within your control.

(3)you chose to come here, you chose to talk to be little my vocation,
just as you chose to become a pickle.

(4)You are the master of your universe, and yet you are dripping with rat blood and feces,
your enormous mind literally vegetating by your own hand.

(5)I have no doubt that you would be bored senseless by therapy,
the same way I am bored when I brush my teeth and wipe my ass,
because the thing about repairing, maintaining and cleaning is: it’s not an adventure.

(6)There’s no way to do it so wrong you might die. It’s just work.
And the bottom line is: some people are ok going to work and some people,
well some people would rather die.

Each of us gets to choose."


1つ1つ見ていきます。

◆(1)少しだけわかりづらいです。
「欠点を正当化する為に知性を使う」とはどういうことでしょうか。
原文では欠点は"sickness"にあたります。
これは直訳すると「病気」ですが、そのままだと意味が通りません。
意訳するならば「心に抱えたメンタルな問題」、「心の病」といったところでしょうか。
これはモーティやサマー、あるいはベスやリックに共通する病です。

いったい何が病なのでしょうか。
それは先に述べたいびつな家族関係にあると考えます。

リックは身勝手で自由奔放、
ベスは父への愛情を持ちつつも素直に受け入れられない一方、子供たちに嫉妬する。
ジェリーは自己主張ができないか弱い男性、
モーティとサマーはそんな機能不全家族の代わりにリックを親として敬愛している。

こうした歪みに歪んだ家庭環境を正当化(防衛機制)するために
リックは家族に無関心、ベスはジェリーと離婚、サマーは不良化、モーティは退行したのではないでしょうか。
そう考えるとuse intelligence to justifyは「こころを適応させる」と見た方がいいかもしれません。

これらをまとめると
「(現在置かれているいびつな家庭環境に)自身の心を適応させている」といったところです。


あと「ご家族全員に共通しますが」を「リックを含め、ご家族全員に共通しますが」
にしたほうが分かりやすいです。


◆(2)「止められない力と避けられない災いの間が揺れているようですが、
それはあなたが、本当にもてあましているのは、自分自身の頭の中だからではありませんか?」
の意味が不明で、まったく分かりませんでした。

分かりづらかったところをピックアップします。
「揺れている」 は "alternate" 、 「もてあましている」 は"unapproachable concept"
「自分自身の頭の中だからではありませんか?」 は "it’s your mind within your control"
に該当すると思います。 1つづつ変えていきましょう。

Weblioによると、
alternate は "alternate A with B"で「AとBとの間を行きつ戻りつする」という意味で
unapproachable は 「近づきがたい」という意味です。
またyour mind within your control は「自分で制御できる自分の心」であると解釈できます。

これらをまとめるとこうなります。

「あなたは自分の心の中を
時には止められない力として、また時には避けがたい災いとして見ることで、
その間で行ったり来たりしているようですが、それはまさに、
あなたご自身が自身の心の中を制御することに抵抗があるからではありませんか?」

少し意訳しました。
英検五級なので直訳っぽい英語ですが、意味が分かりやすくなったと思います。

リック自身が自分の中のエネルギーを自由に爆発させること
そのことに伴うリスクや痛みというものに実際に直面してさえ、まだそれを追い求めるのは、
your mind within your control の状況に置きたくないからなのではないか?ということです。

すごい分かる気がします。自分が学校にいたとき、管理され教育される間、
自分のエネルギーをそんなことに使いたくはないと思っていた人も多いはずです。
夜道を爆音で走り回る暴走族や、高校で突っ張るヤンキーたちは
みなリックと同じ感覚を共有していたと思います。

your mind within your control とは自分の事を自分で管理できる状態のことです。
つまり、飼いならされた奴隷、教養あるサラリーマン、まとも、真面目、体制迎合的であるということ。
リックはそんなものに時間を費やしたくないということを、ワン医師は見抜いていたのです。


◆(3)和訳のままで問題ないです。
のちに分かりますが、「各自で選択することです」というように、
ここでは「選択」という点について語っています。
リックが「ここに来」たこと、「私の職業をけな」したこと、
そしてリックが「ピクルスになるのを選んだ」こと
これらはすべて「選択」という点では同じ現象にすぎないのです。つまり同等の価値があるということです。

◆(4)少しわかりづらいですが、理由があります。
「文字通り(literally)」というのが、何を指しているのかが和訳字幕にはありません。
日本語じゃうまく伝えられないからです。

ここで「文字通りエゴを増大させている」とありますが
これは"your enormous mind literally vegetating by your own hand"という原文にあたります。

vegetatingに注目してください。
これは和訳では「増大させている」としかありませんが、正確な意味は「植物のように生長する」です。
ピクルスが野菜であることに掛けられているため、敢えて「文字通り」という言葉を使ったのでしょう。


◆(5)ここも和訳のままで問題ないです。とてもわかりやすいです。
「修復や維持、手入れといった行為は、冒険じゃないからです」という言葉がとても分かりやすい。
リックにとってリスクや危険に身を置かないことは、日常生活を淡々といきる絶望に等しいのでしょう。
これらの行為は死を伴うほどのリスクがない、「単なる作業」にすぎないからです。


◆(6)そして最後。和訳の終わり方が不自然だったので、少し考えてみます。
原文の"the bottom line is" は「まとめると」、という意味です。
これが省かれているため会話として変でした。


さてこれらを統合して和訳を作り直します。

「リック、その非の打ち所の無い知性と、家族を機能不全にする精神的な歪みを結び付けているのは
これはあなたを含め、ご家族全員に共通していますが、
あなたたちが置かれているいびつな家庭環境に、こころを適応させてしまっていることです。

(そしてリック、)あなたは自分の心の中を、時には止められない力として、
また時には避けがたい災いとして見ることで、その間で行ったり来たりしているようですが、
それはまさに、あなたご自身が、自分の心の中を制御することに抵抗があるからではありませんか?

あなたはここへきて、私の職業をけなすことを選びました。
ピクルスになるのを選んだように。 (これらはあなたが選択したという点で同じことです)

あなたはこの宇宙の中心ですが、ネズミの血と糞にまみれています。
文字通り自分でエゴを増大させているんですよ。 (その結果が、傷だらけの今のあなたです)

きっとあなたはこのセラピーにうんざりしていることでしょう。
私がはみがきや、おしりをふくのにうんざりなのと同じように。
修復や維持、手入れをするとった行為は冒険じゃないからです。
間違っても死んだりしません。単なる作業です。

私が言いたいのはつまりこういうことです。
そういう作業を、文句を言わず淡々とこなす人もいれば、
そんなの死んだ方がマシって人もいるってこと。

どちらを選ぶのか、それが問題なのです」


・・・大分わかりやすくなってきました。

リックやその家族たちは家庭環境に心をゆがませ、
その環境のなかでうまく心を適応させようとしているのです。

そしてここではリックに語りかけています。
リックの場合、その歪んだ頭の中と機能不全に陥った家族を結び付けているのは
「家族に対して家族ヅラをしない」ということ。言い換えれば、それが彼が家族に向けた愛情表現なのです。

彼はピクルスリックになったときジャグアーと次のように対話しています。

キャプチャut

ジャグアー:「ピクルス男、俺はもう娘に愛してるとは言えん(敵に殺された)が、アンタは違う」
リック    :「娘は分かってる。お互いそういうことを口にしないだけだ」
リック    :「愛ってのは時間をかけて育んでいくものだろう」
リック    :「だが無限にバージョンのある異次元が、それを妨げてる」
リック    :「実際、無数にいる娘の一人を、ミュータントの支配する別次元の地球で見捨てた!」

ジャグアー:「あ、そっかあ(思考停止) ま、がんばれよ」


リックは無数のバージョンのある並行世界の中を行き来する環境に身を置いており
特定の誰か一人の娘を愛することができなくなってしまっているのです。
実際、無数にある娘の1人をミュータントの世界で見殺しにしたことから、
誰か一人の娘ベスを直視することができなくなっているのでしょう。

そうしたうしろめたさを抱え、家族と接していくためには
愛情をおおっぴろげにせず、口には出さないが愛を抱えている他にないのでしょう

またそうしたうしろめたさを隠すかのようにスリルと冒険の日々に身を置く彼ですが、
彼がそうすることは、極端なリスクを彼自身に課すことになります。
実際かれはボロボロで「ピクルス」な状態に身を置き続けた結果、
それは傷だらけの結果に終わるのだし、「人間に戻るための薬」が必要なのです。

リック自身はボロボロになりながら、そんな事情を知らないどこぞのセラピストの精神的な分析に
自分にも「人間に戻るための薬」、つまり「家庭」がないと生きていけないということを
痛いほど心にしみて理解するのです。

それがリックの最も嫌いな人種から学んでしまうのですから、
あまりに強烈な皮肉、耐えられないほどの屈辱だったと思います。



▼セラピーが終わって・・・

セラピーが終わると全員は車に乗って家に帰ります。
ベスとリックは何かぎこちない様子でした。
車内でセラピストの話題になると沈黙してしまいます。

リックもサマーは、なにかとセラピストの元に引き返したがっています。
でもそれを無視して、敢えて話を逸らそうとするベスとリック。

なぜモーティとサマーはセラピストの元に戻りたがっているのでしょうか。
なぜリックとベスは2人の話を無視するのでしょうか。
それについて考えてみます。

まずモーティとサマーにとって、セラピストのワン医師は
自分達の心情を骨の髄まで理解してくれる人だったことがここで分かります。
だからよき理解者である彼女のもとに戻りたがっているのです。

リックとベスも例外ではありません。
ワン医師は彼ら2人の心情もお見通しだったのです(全部かどうかわかりませんが)。
そのため、リックやベスが、今まで家族に向けて示していた歪んだ感情を言い当てられたことで
今まで通り子供たちに接するように示してきた愛情表現をふるまうことに抵抗があるのでしょう。

なぜならリックの歪んだ愛情表現は「家族を捨てて、子供たちを危険な冒険に誘うこと」
ベスの歪んだ愛情表現は「リックからの愛情を受けられず子供たちに嫉妬し、
自分にも構ってほしいという心情を隠すように子供たちに強くあたること」だったということを
子ども達の前で解き明かされてしまったからです。

go.jpg
・モーティがリックとベスにワン医師への好意を伝えている図。2人は断固として無視をキメ込む。


当然、子供たちにそんなことを理解する頭はありませんが、
自覚のある人間が、誰かにその自覚をあばかれたことで、
いや、あいつには分からないだろうと安堵する者はまずいません。
しまった、くそ、言われてしまった という屈辱の方がはるかに大きいのです。

そのため、彼らは子供の前でセラピストの話題をすることが気まずいのです。
しかしそんなことがなかったかのように、彼らは日常へと戻って行きます。
心の中にいびつな心の病を抱えつつ、それでもどうにか明日を生きていくのでしょう。




▼考察を終えて

自分がワン医師になったような気分でした。
これで物語を理解したつもりになっていますが、あくまでワン医師の視点に近い分析です。
そんなことはリックやベスは考えてないかもしれないし、まったくの見当違いかもしれません
(クソ食いの医師ですから単なる妄想の可能性も)

それでもあらためて見て、この話はすごいと思いました。
これだけの問題背景をたった25分程度に圧縮し、
しかもその半分はピクルスリックのアクションシーンです。

家族の問題というテーマをたった12分程度で納めたということは
並みの技量ではできません。とてもすばらしいことだと思います。
もしこれらすべての要素を製作陣が意図して作っていたのだとしたら、
それこそ、とてつもなく頭の良い人が作っているんだろうなあという思いがします。


今回の記事を書き上げるのに7時間程度かかりました。
徹夜で仕上げたので記憶がありませんが、書き終わった後もう一度ピクルスリックを見てみると
いろんなことが、ああそうか!と頷いてしまいます。

ピクルスリックは他のエピソードと比べ高い評価を得ている作品の1つです。
書き上げた後気が付いたのですが、wikipediaにpickles rickの専門記事があるくらい
分析されるべき対象として扱われているようです。

これらの分析はまた別の機会に回すとして、
今回はこれでいったん幕を閉じたいと思います。

今回の記事を通じてモーティ・アンド・リックに興味を持っていただけたらと思います。
イキすぎた長文でしたが、最後までご精読ありがとうございました。


--------------------
追記:

余談ですが、モーティの小学校の数学教師であるゴールデンフォード氏はワン医師の患者みたいです。

poop1.jpg

看板にCOURAGEとありますが、Weblioによると、これは
(危険・苦難・不幸にあっても恐れず不安を抑えることのできる)勇気,度胸
《★【類語】 courage は精神を,bravery は行動を強調する》.

という意味です。絵はホットドッグを食べる絵ですが、
うんちを食っている患者に対して向けられたものであると考えると、

「うんちを食べる自分を捨てて、普通の食べ物を食べる『勇気』を出せ」
「うんちを食べていた今までの自分から、新しい自分に変わることを恐れるな」
という意味でしょうか。

つまりゴールデンフォード氏はうんこを・・・

リックからすれば、うんちを食べているやつは
好きに食わせておけばいいじゃないか、と思うでしょうが、
社会の調整し、体制を維持するためにはうんち食者は変化が必要なのです。

poop2.jpg

ここ、めちゃくちゃ面白いです。
ワン医師は一方にはCOURAGE、困難に立ち向かう勇気を示す一方で
リックにはDEDICATION、つまり家族への献身が必要であると説いているのです。

セラピストの言葉には一貫性がないという皮肉でしょうか。
しかしそうであることが、医師には必要だということもよく分かります。

セラピストが政治家のように一貫性のある主張ばかりしていたら、
すべての患者を救うことはできません。患者にはそれぞれの処方箋があるのです。

昔孔子の話で似たような訓話をみたことがあります。
一方の弟子には親孝行を、一方の弟子には親から自立しろと孔子は言っていました。
それを聞いた弟子が、言っていることが違うじゃないかと文句をいうと、
人には人それぞれの答えがあるのだ、という話だったような。

うんち食べるマンにはうんち食べるマンの治療を
リックにはリックの治療を充てられる人だからこそ、患者は救われるんだと思いました。
医者にとって1つの方法にとらわれないということは大事なのかもしれませんね。






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